背中の筋肉が発達している人を、よく「鬼の顔が浮き出た状態」と例えますよね。バッキバキの筋肉が怒った鬼の顔のように見える事からそんな例えがされています。
そしてその鬼を作り出すために最適な種目が懸垂です。英語に訳すとチンニングとも言われており、このトレーニングをやり込むだけで鬼の顔だけでなく綺麗な逆三角形型の体型を目指す事も出来る優れたトレーニングです。
特にその筋トレ効果は凄まじいものがありますので、肉体改造を生業としているボディビルダーやフィジーカーを始め、サッカーやバスケットボールなどあらゆるスポーツの補助種目として用いられているのが懸垂なんです!
そこで今回の記事では、広背筋や大円筋をピンポイントで鍛えられる懸垂の効果的なやり方や、意識するコツ、さらには初心者は何回出来れば合格なのかについてご紹介をして行こうと思います。
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懸垂のやり方
懸垂のやり方と言っても様々です。例えば手の向きをこちらに向けるか反対を向けるかの違い、さらにはグリップを広く取るか狭く取るかなどやり方は複数あります。
ここのページでは、ベーシックなグリップは順手で肩幅よりもほんの少しだけ広げた状態での懸垂についてご紹介して行きます。このやり方に慣れて来たら、ワイドグリップやナローなど微調整して行くと良いでしょう。
1.バーにぶら下がる
まずは懸垂専用のマシンや高めの鉄棒にぶら下がる所から始まります。実はこのぶら下がる段階から既に正しいフォームで懸垂が出来るかが決まってきますので、気を緩めないようにして下さい。
ぶら下がった際に意識するポイントとしましては、肩をすくめずに肩甲骨を下へと下げておく事。よくある間違いとして「肩甲骨が寄せられていない」があるのですが、スタートポジションでの姿勢が崩れているから寄せられないんです。
バーにぶら下がってそのまま身体を引き上げるのではなく、肩甲骨を下げて寄せる姿勢を予め作っておくと懸垂で狙った広背筋にピンポイントで効かせられるようになりますよ。
そして下半身ですが、若干腰を反らせて脚を後ろで組んでおくと懸垂がやりやすくなります。この時背中が丸くならずにきちんと胸を張れているかも確認しておきましょう。
2.背中を使って引き上げる
1.で理想的な肩甲骨の状態が作れましたら、背中の広背筋を使って引き上げるような意識で身体を上げて行きます。この時腕はあまり使わないようにして下さい。
どうしても懸垂に慣れていないと腕で上げた方が楽ですが、懸垂は広背筋を鍛えるトレーニングですのでそれではほとんど意味が無くなってしまうんです。腕はあくまで支えているだけ、と言う認識ですね。
腕の力だけで引き上げてしまうと言う方、もしかしたら肩甲骨同士が寄せられていない事が原因かもしれません。一度自分の懸垂のフォームを後ろから撮影してみて、適切なフォームかどうかを確認してみるのも1つの方法です。
引き上げる位置は顎がバーに付くぐらいでOKです。あまり上げ過ぎても広背筋の収縮よりかは肩の筋肉へと刺激が逃げてしまいます。
3.ゆっくりと下ろしていく
顎が付くぐらいの高さまで上げて1秒近くキープした後は、ゆっくりと広背筋が引き伸ばされるのを実感しながら元の姿勢へと戻って行きます。
息をフーッと吐いて肩甲骨を開いていくイメージです。こうする事で、広背筋がストレッチされてネガティブ動作での強い刺激が加わるようになります。筋肥大させていきたいならこの動作も忘れずに。
ストンと下ろすやり方もありますが、初心者の方であれば筋肥大+筋持久力も狙って行きたいですのでストリクトな動作を心がけるのがおすすめ。変なフォームが身に付いてしまうのも防がないといけません。
腕が伸びきる直前で停止をして、2回目以降の動作に移って行きましょう。これが懸垂の一通りの流れになります。お疲れ様でした。
懸垂で背中に効かせるためのコツは?
1.腰を反らす
懸垂やラットプルダウンのような引く種目でなかなか効かせられない、と言う場合にまず考えられるのが、背中が丸まっている事です。
丸くなってしまうと引いた時に上手く広背筋を収縮させられずに、どちらかと言えば肩の筋肉がメインで使われるようになります。試しに今、懸垂で引く動作を背中を丸めた状態と背中を反った状態でやってみて下さい。
いかがでしょう。背中を反らせて胸を張り、さらには肩甲骨を寄せる動きで行えば、肩甲骨周りがギューっと収縮するのを実感出来るかと思います。これを本番の懸垂でも出来るようにしておく事が大切。
なかなか懸垂で腕ばかり効いてしまうと言う方は、時間のある時にエア懸垂で広背筋を収縮させる感覚を身に付けるのがおすすめです。私もなかなか効かせられない時、このエア懸垂で身体に無理やり染み込ませたものです。(笑)
2.腕の力で引かない
やり方の所でも軽く触れましたが、懸垂で身体を引き上げる時には腕の力はあまり使わないようにします。
いつも懸垂やラットプルダウンをした直後に腕が筋肉痛になると言うあなた、腕にガッチガチに力が込められていませんか?或いは体重が重いなどで懸垂の負荷が大きくなって、肩甲骨で引けない場合が考えられます。
懸垂は広背筋や大円筋を鍛えるトレーニング。腕を鍛えるのであればダンベルカールやハンマーカールなどで良いですので、ここでは上腕二頭筋にはお休みしてもらいましょう。広背筋だけを活躍させられれば鬼の背中はもうすぐ!
この場合はいきなり懸垂で背中を鍛えるのではなくて、まずは重量の調節が可能なラットプルダウンから始めてみるのがおすすめです。効かせられるギリギリの重量で、まずは背中に効かせる感覚を養う事が大切です。
3.ストリクトな動作を心がける
たまーにジムなどでも、身体の勢いでグワーン!と引き上げながら懸垂を行っている方を見かけますが、このやり方ですと全身の勢いを使っているだけで背中にかかる負荷は弱くなってしまいます。
特に懸垂時に鏡が無かったり、癖の付いたフォームが染みついてしまっていると無意識の内に反動を使って懸垂をしてしまいがち。最後の追い込みであれば有効ですが、体力が残っている内は正直あまりおすすめ出来ません。
背中に効かせる懸垂をするのであれば、勢いを使わないように上半身と下半身はそれぞれ固定したまま、背中の筋肉だけを意識して引き上げていきます。ストリクトな動作を意識すると、より背中に刺激が入っているのが分かると思いますよ!
あ、ただマッスルアップと言うちょっと変わった懸垂をするのであれば反動は必須。マッスルアップについてはこちらのページに詳しく書いていますので、通常の懸垂では物足りなくなった方は是非こちらもお試しあれ。
懸垂初心者は何回出来れば良い?
懸垂に取り組み始めてまだ日が浅いと言う初心者の方であれば、まずは5回を連続して休まず続けるのを目標に頑張ってみましょう。
たったの5回!?とびっくりされた方もいらっしゃるかと思うのですが、正確な動作で適切なフォームで5回懸垂するとなると難易度は高くなると思います。きちんと広背筋に効かせる懸垂って難しいんですよ。
ただ懸垂の難易度は体重に大きく影響します。体重が重ければ重いほどその分だけウエイトが加算されますので、体重が軽い人よりも重い人の方が懸垂の難易度は一気に跳ね上がります。
特に、運動習慣の無かった肥満体の方であれば、どれだけ頑張っても1回も出来ない事もあるかと思うんです。まずは焦らず自分のペースで体重を落としていきながら、懸垂を楽にこなせるのを目標に。
そして体重が軽い人の場合は、ちょっと懸垂の練習をしただけでも身体が適応して楽にこなせるようになります。目安として15回以上軽々こなせるのであれば、ウエイトを上げて筋肉にかかる負荷を高めるトレーニングをして行きましょう。
その場合はワイドグリップでより広背筋に効かす懸垂をしたり、加重懸垂をしてどんどん負荷を上げて行くとより筋肥大に効果的ですよー!
痩せるなら懸垂に取り組んでみましょう!
背中の中でも広背筋や大円筋を鍛えられる懸垂でしたが、いかがだったでしょうか。
懸垂は自重トレーニングでありながら、広背筋と言う比較的大きな筋肉を鍛えて行ける貴重な種目です。大きい筋肉を動かせば動かす程、脂肪燃焼効果が高いのでダイエットには効果的なんです。
近くにジムが無くてラットプルダウンが出来ない、自宅に筋トレセットが無くてそもそもウエイトを利用したトレーニングが出来ないのであれば、カッコよく痩せるためには懸垂は必須です。
最低限ぶら下がれるバーがあれば、いつでもどこでも行えてしまうのが懸垂の魅力。是非、これまで懸垂に取り組んだ経験が浅いと言う皆さんも、懸垂で広がりのあるカッコいい背中を目指してみて下さいね。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。